2016年3月22日火曜日

卒業前の出費はどうする?


全学部コラボ企画、「学問のミカタ」、3月のテーマは「卒業」です。卒業は、する側だけでなく、送り出す側にとってもいつでも感慨深いイベントです。この春に卒業するすべての皆さん、卒業おめでとうございます。

 

大学での講義の履修や就職活動などを終え、あとは卒業を待つのみというという時期は、人生で最も自由な時間の多い時期の一つではないでしょうか。私のゼミ生も、卒業旅行に行ったり、運転免許を取ったり、趣味に没頭したり、最後のバイトにまい進したり、企業の研修や資格取得の勉強に勤しんだり、それぞれに有意義にすごしているようです。

 

しかし、貴重な時間を有意義に使おうといっても、免許や資格の取得にしろ、卒業旅行にしろ、趣味にしろ、時間だけでなく、お金もかかります。バイトの資金で賄える範囲であればいいのですが、そのためにバイトを増やすとなると、せっかくの自由な時間の方が減ってしまう。悩ましいところです。

 

こうした需要に対し、いくつかの金融機関が提供しているのが、内定者ローンです。これは、通常、安定した収入がなく、そのためローンを組むことが出来ない学生の立場であっても、卒業間近の内定者であれば、現時点での収入がなくても、近い将来の収入が見込めるため少額であればローンが組めるというものです。

 

ただし、当たり前であり、かつ重要なことですが、まだ社会人として働いてもいない段階で、ローンを組むということには大きなリスクがあり、その利用は極めて慎重に判断する必要があります。特に、たとえそれが一生残る大切な思い出、大切な友人との絆となるイベントであっても、卒業旅行などの一時的な消費のためのローンということになると、その賛否は、人によって、ケースによって大きく分かれることでしょう。

 

しかし、一方で4月からの仕事に必要な投資のための資金を得るためのローンということであればどうでしょうか。典型的な例は、首都圏以外の地域での車の購入です。公共の交通機関が充実していない地域では、通勤や生活そのものに車が必須であるケースが多くあります。このようなケースでは、4月に仕事が始まる前の、新生活の基盤を整えておきたい時期に車購入のためのローンが組めることの意義は大きいのではないでしょうか。

 

実際、今年度の私のゼミの学生が、このテーマをレポートのテーマに取り上げ、調査をしたところ、マイカーローンに関する内定者ローンを実施している金融機関の方が、卒業旅行のための内定者ローンを実施している金融機関よりかなり多いとのことでした。

 

いずれにしろ、金融を利用する場合には、返済可能かどうかとともに、得た資金の使途の意義についてもしっかりとした考えを持ったうえで行う必要があるということですね。その意味で、実は卒業前のこの時期から既に一人の社会人としての判断力が問われている、と言えるのではないでしょうか。

 

卒業される皆さんの活躍を心から期待しています。

 

投稿者 石川雅也