2018年11月15日木曜日

【学問のミカタ】「科学的に証明された」健康に良い食品

経済学部の安田宏樹と申します。

全学部・センターコラボ企画である「学問のミカタ」、
今回は食品について考えてみたいと思います。

昨今、健康に対する関心の高まりを受け、さまざまな健康食、
あるいは健康食品がテレビやインターネット等のメディアを通じて
日々情報提供がなされていますよね。

 


しかし、本当に信頼性の高い研究成果を基に食品が紹介されているかというと、
必ずしもそうではないかもしれません。

というのも、ある食品を摂取することで健康状態が改善されるという
因果関係の特定は非常に難しい問題だからです。

この因果関係の特定に関して、最近では、経済学の分野においても
ランダム化比較試験などの分析方法を実施して、因果関係に迫る研究が
増えていますし、一般向けに書かれた良書も登場しています。

例えば、経済学部ブログでも以前紹介がありましたシカゴ大学の伊藤公一朗さんの
『データ分析の力』(光文社)は、昨年のサントリー学芸賞(政治・経済部門)、
日経・経済図書文化賞を受賞しました。

また、慶應義塾大学の中室牧子さんとUCLAの津川友介さんが書かれた
『「原因と結果」の経済学』(ダイヤモンド社)も昨年の週刊ダイヤモンド
2017「ベスト経済書」で第1位を獲得しました。

今回は、その津川友介さんが書かれた『世界一シンプルで科学的に証明された
究極の食事』(東洋経済新報社)を紹介したいと思います。

この本は、先程述べたランダム化比較試験を複数取りまとめたメタ分析を
「最強のエビデンス」と称し、メタ分析で得られた信頼度の高い研究成果から
得られた健康に良い食品について紹介されています。
(エビデンスレベルについては下図をご参照ください)




本書では、食品を以下の5つに分類しています(ここでいう「健康」とは、
病気になるリスクや死亡率を指しています)。


【グループ1】
健康に良いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品
【グループ2】

ひょっとしたら健康に良いかもしれない食品。少数の研究で健康に良い
可能性が示唆されている。
【グループ3】

健康へのメリットもデメリットも報告されていない食品。
【グループ4】

 ひょっとしたら健康に悪いかもしれない食品。少数の研究で健康に悪い
 可能性が示唆されている。
  【グループ5】

 健康に悪いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品


気になるグループ分けですが、グループ1に分類された食品のみ紹介します。

① 魚
② 野菜と果物
③ 茶色い炭水化物
④ オリーブオイル
⑤ ナッツ類


茶色い炭水化物というのは、精製されていない炭水化物のことで、上記5点が
健康に良いことが複数の信頼できる研究で報告されている食品とのことです。

●フルーツジュースはどこに分類されるのか?
●健康に悪い食品というグループ5にはどのような食品が含まれているのか?

気になる点はいろいろとあるかと思いますので、関心のある方は
是非、本書を手に取っていただければと思います。


参考文献

伊藤公一朗(2017)『データ分析の力』光文社.
中室牧子・津川友介(2017)『「原因と結果」の経済学』ダイヤモンド社.
津川友介(2018)『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』東洋経済新報社.