今月のテーマは、経済学にも深く関わる「ルール」です。できるだけ身近な例をあげつつ、経済学とルールの関係性を説明したいと思います。
出所:http://www.irasutoya.com/2016/07/blog-post_28.html
通学に電車を使っている人も多いのではないでしょうか。たとえばJRを使って、国分寺から新宿に行く場合、片道388円(IC)を支払います。388円を支払う代わりに、国分寺から新宿までの電車を利用することができます。当たり前ですよね。
それでは、なぜAさんは席に座ることができ、Bさんは立たなければならないのでしょうか。それは暗黙のうちに、私たちは「早い者勝ちのルール」に同意しているからです。読んで字のごとく、早くに電車に乗った人は優先的に座ることができます(ちなみにこの早い者勝ちルールは、河川水の利用ルールとして世界的にみられます)。
しかし、この早い者勝ちのルールは本当に正しいのでしょうか。たとえばネットオークションや魚市場でみられるように、「よりお金を出せる人を優先的に座らせるというルール」もあり得るのです。経済学からすると、「遠くから乗った人」よりも「より多くのお金を出せる人」に座らせる方が社会的に望ましいことになります。
もちろん現実はそうなっていませんね。ここが大切なポイントです。
なぜ駅に着くたびに、電車の座席を競りにかけないのかというと、競りにかける費用が別途必要になってしまうからです。これは以前お話しした取引費用の一種です。駅ごとに座席を競りにかけるという取引費用が高いので、現実は別のルール、早い者勝ちのルールが採用されたと解釈することができます。
私たちの日常生活のなかには、見えない鎖としてのルールが無数に埋め込まれています。ルールが決まらなければ社会は動きませんし、ルールの良し悪しを分析するのも経済学のテーマの一つです。
経済学とルールの関係性に興味を持ってくれれば、嬉しく思います。