2017年10月23日月曜日

【授業紹介:経済学部女子のキャリアを考える(2)】



こんにちは。経済学部でキャリア関連の授業を担当している藤井です。
さて、今回は前回(10/9)の続き、ステップ3「これまでの学びを統合する期間」で行ったグループワークとその発表の様子を中心にご紹介したいと思います。

<ステップ3>これまでの学びを統合する期間(第12講~14講)

これまでの作業、ゲスト講演から得られた知見をもとに、テーマ別グループを組み、何らかのアウトプット(成果物)をつくり、プレゼンテーションする。そして、これらの経験を生かして「ロング・キャリアを目指すビジョンとパーソナル・プロジェクトを考える」という最終セッションです。

テーマ別に組んだグループワークの様子



ゲスト講演の最終日に、7つのグループに分かれて、それぞれ取り組みたい課題を考え、発表する、というセッションを行いました。

企画のテーマとして、今年は、キャリアや働くことについてではなく、「キャンパスライフの充実につながる活動」を考えてもらいました。その趣旨は、これから卒業までの4年間を過ごす大学に関して、身近な疑問や関心内容は問題意識をもって主体的にキャンパスライフを送るためのきっかけとなるということです。また、このような体験をほとんどしたことのない人にとっては、取り組みやすい課題であることも考慮しています。仕事や働き方をディスカッションする機会は、別の授業(キャリアデザイン関連の授業)であるため、女子キャリの授業では、楽しく意見交換を行い、チームを組んでまとめ、発表することに慣れてもらうことを意図してこのようにしました。

発表-プレゼンテーションの1シーン



7グループそれぞれの企画は以下のような内容でした。

l  経済学部の知名度UP(オープンキャンパスのパンフに女子向けチラシを入れる)

l  経済女子カフェ(オープンキャンパス来校女子高生を対象として)

l  高校生向け経済学部PR(ホームページ,Twitterの活用)

l  レディースルームの設置(女子が過ごしやすい場づくり)

l  女子キャリタイム‼- OGとの相談・交流会の開催

l  女子の聖地、ミスコンの開催

l  かわいいは創れる!(将来のために必要な身だしなみをスタイリストから学ぶ)

 短い期間で企画を考え、発表するという経験は、履修生のほとんどがはじめてということでしたので(数名、経験者もいました)、もっとグダグダになるのではと心配していたのですが、ふたを開けてみると、アイデアを色々練り、皆手を抜かずに発表内容を仕上げ、堂々とプレゼンテーションをしてくれました。

1年生の前期の締めとしては上々の出来栄えで、講師は感慨深く発表を聴いていました。

これまで彼女らの学びといえば、教員のレクチャーを聴いて知識を修得するということが当たり前だったのだと思います。授業の最初の頃は戸惑いながらあるいは消極的にセッションに参加していた人も、多くがアクティブな姿勢になっていました。各人それぞれ問いを立て、その問いをグループメンバーで1つの問いに収れんさせ、協働で課題を達成する活動を一丸となって実践した成果としてのプレゼンテーションです。それぞれのメンバーの構成が反映され、どの発表内容も発表の仕方も味わい深く、とても感動しました。

 最終日は、これまでのまとめとしてキャリア・ビジョン(将来の展望)とパーソナル・プロジェクト(行動計画)を考えてもらいました。実は、この時点でなりたい職業やどのようなキャリアを築いてゆきたいのか、働くことへのイメージをもっている人は一般的にもほとんどいません。むしろ、それは今後の学生生活のプロセスのなかで、徐々に形成されてゆくものだからです。今年の受講生のなかで、明確なビジョンもっている人は1人でした。書けなくても問題ありません。このセッションの趣旨は、きちんと描けない自分に気づくこと、具体的に考えるきっかけにしてもらうことにねらいがあります。要は、意識化できれば十分なのです。何もキャリアを意識することなく学生生活を送る人に比べて、少しでも考え、問題意識をもった人は、キャリア形成の構えができます。その構えは人によって中身も広さ深さも違いますが、それぞれでかまいません。それぞれ、これから過ごすキャンパスライフのなかで探求し、経験を積み上げ、創りあげてゆくことが、キャリアの下地になるのです。

経済学部では、1年生後期から3・4年生にかけてキャリア形成支援科目を受講することができるようになっています。別の機会に、経済学部ブログでご紹介したいと思います。

 二年次科目、キャリアデザイン発展から先輩女子が訪問


最後の写真は、授業最終日に別授業の企画で訪れた2年生先輩女子との記念撮影の様子です。お面をかぶっているのが先輩で、経済学部2年生を対象としたグループワーク主体の授業の取組みキャリアデザイン発展という授業の企画(経済学部女子のキャリアのPR映像を創る)に履修生全員協力していただきました。
最後に、履修生の声をご紹介します。

「こんなにも多くの卒業生や、先生のご友人の方の話しを聞けたことが本当に良かったです。学ぶことが多くてお腹が一杯です。また、経済学部の女子の友達が増えた事です!」(YAさん)

「女子の少ない経済学部が授業で会えたことで交流ができたので楽しかったし良かった。ゲストの話を聞くことで就活までにどうしていくかや働いているときの話を聞くことでイメージがより伝わったから良かった。」(SKさん)

「女子が少ない経済学部の中で女子キャリという授業があることでまず経済学部にどんな人がいるのかなど知ることができ、また交友関係も広げることができたので、とてもよかったと思います。後期もあればよかったなと思いました。」(NOさん)

「この授業を通して、仲良くなった子とほかの授業で会ったとき話したり、授業外でも遊んだりできたので良かった。先生とも話すことができたので良かった。」(HKさん)

 さて、2018年度はどのような授業になるでしょう。基本は変わりませんが、今年の女子学生の声をふまえて、より充実した内容を目指した改訂版をご提供できるよう、がんばりたいと思います。

(文責 藤井)



2017年10月9日月曜日

【授業紹介:経済学部女子のキャリアを考える(1)】

 こんにちは。経済学部でキャリア関連の授業を担当している藤井です。

 さて、タイトルの授業は、経済学部一年の女子学生を主な対象とし、卒業後も長く働き社会で活躍できる「ロンキャリ(ロング・キャリア)」を目指す女子の下地を培ってもらうことを目的として、本年度から新たに設けられました。

女子学生のみを対象とした授業は学部のみならず本学初めての試みで、担当講師も実際どのような授業になるのか開けてみなければわからない、ということで取り組んできた半年間の成果を2回に分けてご紹介したいと思います。

どのような授業か

この授業には2つのねらいがあります。1つは、経済学部の女子のつながりをつくる機会にしてもらうこと、もう1つは、早い段階からキャリアを考え、大学での学びを深めてもらうことです。

キャリアを考え、女子のつながりを作るための授業方法として、一般的な講義形式よりも、グループワーク演習や社会人ゲストの講演を中心に組まれています。

この授業は、「オリエンテーリングの期間」「就労イメージを培う期間」「これまでの学びを統合する期間」の3つのステップで構成されています。今回は、最初の2つのステップをご紹介します。

<ステップ1>オリエンテーリングの期間(第1講~4講)

まだ入学して間もない時期のため、いきなりキャリアの話をしてもピンと来ない人がほとんどです。そのため、まずは経済学部女子が互いを知り、経済学部に在籍し学問することの意味、働くことについての想いや考えなどを共有し、キャンパスライフをどう過ごすかについて各人なりの認識を深めてもらうためのセッションを行いました。

自己紹介セッション



上の画像は、初回授業の自己紹介の様子です。初対面の人がほとんどです。遠慮がちに話す人、最初から打ち解け合う人など様々でした。講義型の授業とは異なり、グループを組んでコミュニケーションをとることが求められます。最初から難しい課題に取り組むのではなく、皆でわいわいと楽しく取り組めるセッションがこのオリエンテーリング期間の特徴です。

お気に入りキャンパスマップ作り


この画像は、各人がキャンパス内の「お気に入り」を写真に撮って来て、グループを組んでマップを作るというセッションの成果物です。お気に入りの場所をあげる人、友達との体験の場をあげる人など、それぞれの観点で持ち寄り、それをメンバーで共有しました。このようなセッションが何度かあり、未だ話したことのない学生が興味や関心事項などを共有し、だんだん互いを知るようになります。

ステップ1の最後のセッションでは、社会人ゲストに聴いてみたい質問を皆で考えてもらい、ステップ2に備えました。

<ステップ2>就労イメージを培う期間(第5講~11講)

卒業生OGや社会で活躍する女性ゲストをお招きしてキャリア、女性が働くこと、ゲストの学生時代についてご講演いただき、女性が働くとはどのようなことかを考えてもらいます。

今年は、卒業生3名、一般社会人の方4名にゲストとしてお越しいただきました。



信用金庫とクレジット会社のお仕事のお話、東経大経済学部でどのような学生時代を過ごされたのかなど、経済学部OGならではの貴重なお話をしていただきました。

一般社会人 小坂さんのご講演



東経大OGだけでなく、一般社会人女性のゲストも授業趣旨に合わせてご依頼しています。写真2枚目の小坂さんには自動車販売営業、大手広告代理店のイベント企画のお仕事、現在のベンチャー企業に転職されたお話をしていただきました。

お二方以外に、警察行政職、寝具メーカーの営業・企画職、外資系企業の役員、独立してコーチをされている方、NPO法人でセミナーを運営されている方など、業種も様々、年齢役職も幅広く多様な方の講演から、女性が働くこと、キャリアの築き方、学生生活の過ごし方など、リアルなお話を聴き、大きな刺激を受けたようでした。

上級生ファシリテーター

この授業には、2年生と3年生の、上級生ファシリテーターという授業のサポート役も参加しています。彼女らの主な役割は、グループワークに参加し、対話や議論、課題への取り組み、成果が生まれるようファシリテート(学習の促進支援)することです。講義形式の授業しか経験のない学生にとってグループワークのセッションはどのように参加していいのか戸惑うことがありますが、このようなときに上級生ファシリテーターは女子の先輩として授業をサポートし、話し相手や相談役になってくれます。また、上級生とのつながりをもつ機会にもなっています。



授業後のアンケートをとったところ、うれしいことに次年度の上級生ファシリテーターになってもいいと手をあげてくれた1年生女子が8名いました(履修生30名のうち)。上級生と交流した1年生女子がそれを受け継ぎ、次年度の上級生ファシリテーターとして後輩のサポート役になってくれる人がこの授業から排出される、という好循環が生まれていることに、講師は感激しています。

このブログを見てくれている高校生の方で、東経大経済学部に入学され、この授業を履修されたとき、この8名を含む上級生が皆さんをサポートしてくれることでしょう。

さて、今回はここまで。次回(10/23掲載予定)は、ステップ3「これまでの学びを統合する期間」で行ったグループワークとその発表の様子を紹介したいと思います。