2017年9月25日月曜日

【学問のミカタ】文化財としての景観

環境経済学・環境政策論担当の野田です。
今日は、環境政策の一分野である景観保全を取り上げます。

辞書で景観をひくと、「けしき・ながめ」とあり、とくに「人の生活に関係する風景」として認識されています。

美しい街であるかどうかは、人の生死には直接関係しません。美しさの意味は国や地域、時代によって異なりますが、豊かな生活をおくるためには、美しい街であること、自分の街に誇りが持てることが重要であり、それはある程度人の手によって管理される必要があります。

ヨーロッパでは、景観に特化した環境政策や規制がみられますが、日本の場合、景観保全のための政策は2004年の景観法までありませんでした。それでは何も政策がなかったのかといえば、そうではありません。実は、景観は部分的に「文化財保護法」によって守られてきました。

柴犬も犬山城も東京駅もみんな文化財です。文化財の保護対象はとても広く、そのひとつに景観があります。上の写真は、沖縄県竹富島の景観を写したものです。この景観自体が文化財、より正確に言えば、日本でもっとも南にある「重要伝統的建造物群保存地区」に定められ、この景観が維持されてきたのです。

また最近増えてきているのが、「登録有形文化財」です。これは、人の手から遠ざけて文化財を守るのではなく、利用しながら守っていく種類の文化財です。しかもこれは、文化財の所有者が自ら登録を希望してはじめて成立します。


この登録有形文化財は身近に存在します。上の写真は、神戸異人館界隈にあり、登録有形文化財に登録されたスターバックスのお店です。写真のように、登録有形文化財には、緑色のプレートが掲げられているので、街を散策する際にぜひ探してみてください。意外な発見がありますよ。